Chapter.1 建物と都市の関係性を見つめる。
弊社は創業から70年の歴史があります。日本が敗戦して立ち直っていく激動の時代、父の丹下健三が立ち上げました。この時代に父が大切にして、私たちにも受け継がれている考えが2つあります。そのひとつが建築と都市を関係づけて設計に取り組んでいることです。おそらく日本の建築家では父がはじめて取り組んだことではないでしょうか?
建物だけを見つめていた設計から、その都市との関係性までも踏み込んだ設計へ。たとえば東京と広島の風景は違います。するとその地にあるべき建物は、同じものであるはずはありません。東京都に限っても、青山や銀座や浅草に建つものは違うはずです。父はそんな建築家のあり方を「アーバニスト」と名付けました。誰よりも近くで父の側で育ってきた私もまた、その考えを継承し、大切にし、次代へつなげたいと強く望んでいます。
建築はユニークでなければならないという考えがあります。私どもはその考えを否定しません。しかしただユニークであればいいとは思いません。この都市にはどんな建築が必要なのか?ユニークでありながら周辺との調和がとれる建築はどのようなものなのか?その建築ができることで都市がどのように賑わうのか?そのようなことを一つひとつ考えながらお客さまの想いをカタチにしていくのです。
都市を考えながら建築を考え、建築から都市の未来を考える。常にその両方の面から考えていかなければなりません。どちらかだけではいけないのです。弊社の社名に「都市」という言葉が入っているのもそんな理由から。大都市だけの建築を行うという意味ではなく、建築と街を同時に考える人であること、ソフトからハードまでその関係性から考える人であり続けたいからです。
都市を考えながら建築を考え、 建築から都市の未来を考える。
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